Aa

米最高裁が同性婚合憲判決の破棄要求を棄却

2 回閲覧通報シェア音声

米国連邦最高裁判所庁舎の正面

この画像はイメージであり、記事内容とは直接関係ありません。画像出典:Mark Stebnicki(Pexels)

米国連邦最高裁判所は、同性婚を全国で合法化した2015年の歴史的判決の破棄を求めた上告を正式に棄却した。裁判官らは特段の意見を付すことなく、ケンタッキー州ローワン郡の元裁判所書記官キム・デイビス氏による申立を退けた。同氏は、最高裁が「オバーゲフェル対ホッジス裁判」で合憲判断を示した後に同性カップルへの婚姻許可証の発行を拒否し、下級裁判所から被害カップルに対して損害賠償および弁護士費用計36万ドルの支払いを命じられていた。

デイビス氏の弁護団は、現職9人の裁判官の中で唯一同性婚判例の見直しを主張してきたクラレンス・トーマス判事の過去の見解を引用し、判例変更を執拗に求めていた。しかし、保守派が多数を占める最高裁において同調する動きは広がらなかった。2015年当時反対意見を記したジョン・ロバーツ長官はこの問題に関して沈黙を守り、サミュエル・アリート判事も判例の見直しは支持しない旨を表明。後に就任したエイミー・コニー・バレット判事も、市民が判例を信頼して婚姻関係を結び子どもを育ててきたという「信頼利益(Reliance interests)」が存在する点において、2022年に人工妊娠中絶の憲法上の権利を破棄した事案とは法理上異なると言及していた。

市民社会や人権擁護団体は、最高裁が介入を拒否した判断を高く評価している。全米最大の性的少数者支援団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」のケリー・ロビンソン代表は声明で、公務員が自らの信仰を理由に市民の憲法上の権利を侵害すれば、必ず法的な責任を問われることが明確に示されたと歓迎の意を示した。デイビス氏は2015年9月、連邦裁判所の命令に従わなかったとして法廷侮辱罪で収監され、同氏の釈放後、ケンタッキー州議会は公証書類から書記官の氏名記載を削除する法改正を行っていた。

分析によれば、今回の棄却決定は全米における婚姻の平等に対して極めて強固な司法的安定性をもたらした。法曹界の保守化が進む中においても、人々の日常生活と密接に結びついた基本的権利の枠組みは容易に覆されないことが確認された形である。個人の宗教的信条を行政職務に優先させようとする違法な試みに明確な歯止めをかけるとともに、憲法が保障する法の下の平等を擁護する最高司法機関としての規範が改めて確認された。

ノースアメリカ編集部:リアム・スミス

出典:AP通信のワシントン電訊報道を総合

資料出典

米国連邦最高裁判所公式判例ポータル

コーネル大学法科大学院判例データベース(LII)

ケンタッキー州議会公式立法情報

共有
AD